2009年03月29日

市川伸一『学ぶ意欲の心理学』PHP新書

学ぶ意欲の心理学 教える生徒たちの学習意欲をどうにかして引き出したいと常日頃考えていた。そこで手にしたのが本書。刊行は二○○一年と少し古いが、教育界の流れをしっかりと踏まえていて、充分に参考に値する。そもそも、教育の潮流は個性偏重と学力偏重を行ったり来たりしているだけなので、基本的な考え方は時代によって実はそう変わらないのだ。そして、意欲の持たせ方に関しても、「学習の意味を常に問いながら勉強させるのがよい」や「とにかく基礎基本を徹底的にさせるのがよい」の主張が、常に繰り広げられている。非常におおざっぱな言い方をしてしまえば、個人個人に合った学習法を、学習者と教授者が探っていくしかないのだ。何が正しいではなく、何が合うのか。これは教育に限ったことではないが、生きていく上で常に頭に入れておきたいことである。 Amazon


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2009年03月10日

なだいなだ『心の底をのぞいたら』ちくま文庫

心の底をのぞいたら 精神科医でもある作家なだいなだが、主に小中学生に向けて「私は心理学をこう考える」ということを語りかけるように書いた作品。平易な文章で読みやすいが、しっかり読むとそれなりに深いことが書かれてあり、良質の本だと思う。特に「二つのこわさ」と題されたところの「罰と不安と」という項目がよかった。人間は子どものころ、罰がこわいから禁じられたことはしない。しかし、たとえば周りに誰もいないところでの信号無視など、罰せられる心配のない場面でもそれをしないのはなぜか。それは、罰とは関係なく、自分の心の中にもう一人の自分が作られて、それは禁じるからだ。いわゆる「良心」の形成である。そこから作者の話は死刑廃止論に展開し、「死刑という罰よりも、小さい時からのしつけと教育のほうが、世の中の犯罪を少なくするためにはずっと有効だし、ずっとたいせつなことだ。そのことを、君たちも、よくおぼえていてほしい。」と締めくくっている。その言葉、しかと心に刻みつけた。 Amazon
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真保裕一『繋がれた明日』新潮文庫

繋がれた明日 若さから来る衝動を抑えきれず殺人を犯してしまった男の、監獄生活から出所、その後の険しい人生を描いた作品。人の罪は法により定められた期間、定められたことをこなせば、それで許されるものなのだろうか。いや、法的にはそれで許されるのだが、被害者やその家族の心はそれを許すことはできない。それだけでなく、好奇の目にさらされたり、人間としての生活を取り戻すのに困難を極めたりと、一度罪を犯した者への社会の風当たりは厳しい。あまりこういうことは考えたくはないのだが、どうしても生徒指導上の懲戒や指導のあり方について頭が働いてしまう。生まれ変わろうとする人の心を信じられる寛大さか、それとも過去を取り上げてその傾向性を断罪する峻厳さか。答えはない。 Amazon
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2009年03月01日

加納朋子『レイン・レイン・ボウ』集英社文庫

猫泥棒と木曜日のキッチン 高校時代のソフトボール部のチームメートが若くして亡くなり、久しぶりに顔を合わせる仲間たち。しかし、その死の周辺には謎が含まれている。7人の女性をそれぞれ主人公にした短編が、それぞれ浅くあるいは密接に関わりながら、最後は謎の解明へと収束していく。しかし、主眼はそこではなく、むしろそれぞれの女性の生き方を描くところにあると思う。職場でそろそろ中堅にさしかかろうとする微妙な年代の、苦労と矜恃。それが周囲の人間との関係の中でうまく表現されている。女流作家ならではの言い回しの古くささが少し目に付くが、それを差し引いても充分に楽しめる作品だった。 Amazon
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