2010年08月18日

秋月高太郎『ありえない日本語』ちくま新書

ありえない日本語 ちょっとオタクの言語学者が執筆した本。題名でわかるように気がかりな日本語について論じるといったもの。特徴は、ただ文法上・意味上の誤りを正すことに終始せず、なぜ誤用が生まれるのか、広まるのかを、語の持つ特性や社会の状況と関連づけながら論じている点。少し飛躍した解釈もあるが、それも一つの意見として読めばいい。例えば、「よさげ」「面白げ」といった、接頭語「〜げ」を持つ言葉が生まれてくる背景として、「自分の心情や考えを相手に押しつけたくないという配慮に基づいている」とし、さらに「〜げ」が一語でそのようなニュアンスを加えることができるという点で便利だからだと言う。大筋においてその通りであろう。こうやって言葉の用法を考えるのは面白い。 Amazon


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伊坂幸太郎『チルドレン』講談社文庫

チルドレン 作者が「この五つの短編は、それぞれが単独で雑誌に掲載されたものですが、はじめから終わりまで、一つの長い物語として読んでいただければ幸いです。」と断りを入れる連作短編集。陣内という「絶対」の自信を持つ男を中心に話は展開していく。彼が家庭裁判所の調査官である時の話は、私も子どもと接する仕事にあるということもあって、なかなか考えさせられるところが多かった。不倫やその果てにある離婚という状況になったときの夫婦、その子どもの心情はいかなるものか。それはもちろん様々で、一括りにはできないものだが、作品の中で描かれる姿はなかなか真に迫っていて重い気分になる。しかし演出の工夫で爽快感をもたらす結末となっており、じんとくるものがあった。陣内が若い頃に銀行強盗の現場に居合わせたときの話も含め、全てが心地よい味わい深い作品。 Amazon
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伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』創元推理文庫

アヒルと鴨のコインロッカー 現代と過去を行き戻りしつつ、ブータン人ドルジ、その恋人琴美、その元カレ河崎の「物語」を描いていく作品。その「物語」に途中参加した形の椎名が、過去からの因縁に振り回される。彼の困惑する様子がかわいそうで、それがまたおかしい。特に終盤になって明かされる真相が与える衝撃は彼にとっても読者にとっても大きい。これは巧みなやり方だなと思った。「日常のミステリー」とでも名付ければいいのか、伊坂幸太郎は特徴的な人物を登場させたり不思議な世界を描いたりして、謎を演出することが多い。その答えがパッと目の前に現れたときの爽快感は、事件を解決するミステリーとはまた違ったものがあり、心躍らされる。 Amazon
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伊坂幸太郎『重力ピエロ』新潮文庫

重力ピエロ 映画を先に観てからの読書となった作品。と言うより、伊坂幸太郎との出会いがこの作品の映画だった。その時に感じたことが、「洒落ているな」ということだった。連続放火の現場と、遺伝子を扱う会社に勤める主人公との関係。この部分にまず驚かされた。そして、妙に哲学的な台詞を放つ登場人物たち。これは他の作品にも共通するが、台詞の一つ一つが私の心にひっかかって、解放してくれない。魅力に取り憑かされてしまうのだ。特に主人公の父親が見せる、人生の苦しみを超越したかのような態度にはしびれる。映画の小日向文世の演技も良かった。あんな中年に憧れる。 Amazon
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新野剛志『FLY』文春文庫

FLY 恋人を殺された高校生の向井広幸が、復讐の追跡に執念をかける。次々と登場する人物が、それぞれに謎を秘めていて、複雑に絡み合ってくる。復讐が無事に遂げられるかどうかはともかく、その姿は切なく、やるせなさを感じずにはいられない。果たしてこれは幸せになるための道なのか?その先には一体何が待っているのか?ラストに明かされる数々の真相によって救われる部分も多少はあるだろうが、結末はあまりにもむなしい気がする。そのようなことを考えさせられる上に大長編であり、読むには骨が折れたが、飽きるということは全くなく読み応えのある作品だった。 Amazon
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東野圭吾『赤い指』講談社文庫

赤い指 加賀恭一郎シリーズ。「家族」をテーマにした作品で、犯人と、それを取り巻く人間の思いの交錯が重く悲しい。「家族」には基本的にその枠組みを守りたいという構成員が集まっているものだが、その方法は一人一人違い、そのボタンの掛け違いがとんでもない方向へ全体を引っ張っていってしまう。この作品ではそんな家族の綻びに気づいた一人が精一杯の良心で家族を正しい方向へ導こうとするが、それがあまりにもいじらしく、それでいてやりきれない。加賀と叔父との関わりも登場し、「家族」のあり方をよりいっそう問いかける形となっている。かんたんには切ってはいけないもののはずなのだが。指切りげんまんでは繋ぎとめられないものもあるのだ。 Amazon
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内田樹・平川克美『東京ファイティングキッズ』朝日文庫

東京ファイティングキッズ またも内田樹が知り合いとのおしゃべりを本にしてしまいました。今度のお相手は小学校の同級生であり、いくつかの会社を立ち上げるなど優秀なビジネスマンでもある平川克美。インターネットのサイト上で公開文通していたものを書籍化したもの。この本の中で興味深かったのは、平川が持ち出した血液型の話。若い女性が血液型性格診断を何の疑いもなく信じているということに触れ、それだけでも疑問を感じるが、世の中全体がその診断に引っ張られて、血液型に沿った性格になってしまっているのではないかということを危惧している。人間一人一人を理解するにはてっとりばやい分類ではあるが、「よくわからないもの」を嫌って「わかりやすいもの」を好むのは果たしてよいことなのだろうか。思考停止することによってどんどん愚かになっていくのではないか。人気のない公園で雨風にさらされた鉄棒のように、身体も頭も心も、使わないと錆び付きます。 Amazon
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内田樹『街場のアメリカ論』文春文庫

街場のアメリカ論 アメリカ史というものは日本人にとって意外に盲点なのではないかと思う。学校教育で習う世界史は、だいたい古代文明から始まり、そこから先は中世ヨーロッパや、日本文化に大きな影響を与えた中国、大航海時代などを経て、日本が戦争へと突入していくにあたっての世界の状況といった感じに流れてゆく。授業時間や入試との関係もあり、大多数の人間はせいぜい学んでここまでといったところであろう。アメリカの開拓時代から独立、そして現代に至る流れはなかなか手がつけられない。それは私も同じであり、敬愛する内田樹が現代のアメリカに通ずる背景をつぶさに論じてくれるのは、とてもありがたいし、何よりやはり読んでいて面白い。例えば、アメリカ人の肥満に対して、これは「階級的異議申し立てとしての肥満」だと結論づける。ここに至るまでの積み重ねも面白いので、是非読んで確かめてほしい。 Amazon
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村山由佳『明日の約束 おいしいコーヒーの入れ方 Second Season U』集英社文庫

明日の約束 おいしいコーヒーの入れ方 Second Season U 『おいコー』シリーズの新作。文庫化されるまでに時間がかかる上に、一冊の中での展開もゆっくり。勝利とかれんの関係もよく言えば醸成されている、悪く言えばじれったくて、とてももどかしい作品。びっくりするような急展開もなく、勝利やかれんの周囲の人間の動きが活発な印象を受ける。特にマスターの話は、かれんの微妙な心情にどう響くのか。勝利の視点からしか描かれないのでよくわからないが、同じ立場になったらと考えると、身につまされるものがある。マスターはマスターで今まで色んなものを犠牲にして、ここまで辿り着いたんだろうなと思うと、思わず胸が熱くなる。そろそろ勝利にも進展が欲しいのだが、さて。 Amazon
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万城目学『鹿男あをによし』幻冬舎文庫

鹿男あをによし これは面白い。ドラマ化もされているが、全く観ていなかった。しかし、万城目学は好きな作家なので文庫化されたらすぐに読もうと決めていた。実現されとても嬉しい。鹿が話しかける。剣道部の顧問として系列校と熾烈な争いを繰り広げる。そして、世界を救うのに欠かせない“目”と呼ばれるもの。ざっと挙げただけでも物語を引き立てる要素が満載で、ファンタジーでいてコメディでいてミステリーでもある。中でも“使い番”が誰なのかという点を巡る描写はこちらまで疑心暗鬼になってしまうほどで、巧みだ。私自身、主人公と同じく高校の教師ということもあるし、奈良も好きで何度か出掛けたこともある。とても自分に合った作品に出会えたことに感動している。 Amazon
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阿部和重『ミステリアスセッティング』講談社文庫

ミステリアスセッティング 救いのない小説だと思った。歌うことが大好きで、天賦の才能を持つ少女シオリ。しかし、周囲の罵り、半分は妬みにより歌うことを断念させられる。この心を踏みにじる攻撃が執拗で、読んでいて嫌な気分になる。夢破れ上京するも、そこでも多くの裏切りに遭い、心は切り裂かれてゆく。全ては彼女の純真さゆえなのだが、それだけにいっそう心に迫るものがあり、悲しい。最後は、スーツケースに収められた小型核爆弾を手渡されるというやや現実離れした展開から、衝撃の結末を迎えるが、そこに至ってようやくシオリは救われる。ただ、これを救いと言っていいのかどうかは意見が分かれるところで、これでは意味がないと感じる人もいるだろう。人間の悪意に耐えきれる人は、どうぞ最後を楽しみに読んでみてほしい。 Amazon
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内田樹・鈴木晶『大人は愉しい』ちくま文庫

大人は愉しい ふとしたことから知り合った大学教授の二人が交換していたメールのやりとりを本にしたもの。このメールは「今度飲みに行きましょう。場所は○○、待ち合わせは△△で…」というような事務的なものではなく、自らの思索を披瀝し、考察するといったものだ。また、その返事も相手の考えに常に追従するわけでなく、時に異論や対案を提示し、さらに深化・拡張させた自分の思索を繰り広げる。私は内田樹の文章が好きで、その著作を多読しているのだが、今回は常に異物が混入して、新しい面白みを作り出している。これもひとえに相手が波長の合う人物だったからこそ成せる業なのであって、誰でも可能であったかというと、そうではないだろう。示唆に富むところ多く、非常に読んでいて楽しかった。しかし、このブログのような公開を前提としたものならまだしも、密室性が前提のメールを世間に公開するというのもなかなか勇気がいることだろうなと思う。 Amazon
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2010年08月17日

東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』講談社文庫

嘘をもうひとつだけ これも加賀恭一郎シリーズ。表題作を含む五編からなる短編集。率直に言うと、短編とミステリーというのは相性が悪いのかなと思った。もちろん話の中で事件が発生し、解決に至るものの、その過程があっさりとしていて深みがない。読後の充実感があまり味わえないのだ。本作は、例えば犯人をかばうため、あるいは罪を隠し通そうとするため、などと「嘘」を一つの味付けとしているが、それでも物足りない。長編を読む馬力がなかなか出ない人にはおすすめだが。 Amazon
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東野圭吾『悪意』講談社文庫

悪意 これは何をどう書いてもネタバレになってしまう気がする。いや、それを標榜しているブログなのだから、何を書いてもいいのだが、良心が咎めるのでやめておきたい。なので、全く関係のないことを書こうと思う。登場人物に作家が出てくる関係で、物語の終盤で「人間を描く」という言葉が登場する。それはどういうことかというと、その人物の説明をするのではなく、その人物の言動によって人間性を描き出すということだ。作者はこれを見事に実践していると思う。加賀恭一郎の知性というものが、数々の作品によってこれでもかというくらい突きつけられる。それほど彼の謎解きは鮮やかで、それでいてわずかな狂いもない。人気シリーズにもなるはずだ。 Amazon
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前田安正・桑田真『漢字んな話』三省堂

漢字んな話 朝日新聞の夕刊で連載されているものを単行本化。「熊」と「咲」の父娘が持つ漢字の成り立ちに対する疑問に近所に住むご隠居が答えていくというスタイル。これが落語仕立てになっていてなかなか面白い。そして、成り立ちの解説も荒唐無稽なものではなく、しっかり調査した上で書かれているし、時には異なる解釈を併記してあるので、信頼できる。新聞紙上ではまだ連載が続いている。きっとファンも多いのだろう。細く長く知的好奇心をくすぐり続けてほしいものである。 Amazon
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内田樹『知に働けば蔵が建つ』文春文庫

知に働けば蔵が建つ 『こんな日本でよかったね−構造主義的日本論』と同様に、氏のブログに掲載された文章を採録したもの。編集方針としては「教養」をキーワードにといったところか。著者の「教養」の定義はこうだ。“教養とはかたちのある情報単位の集積のことではなく、カテゴリーもクラスも重要度もまったく異にする情報単位のあいだの関係性を発見する力である”。やや難しく聞こえるが、一問一答式の「雑学」とは別物であることはすぐにわかる。そして著者は大学の教授でもあるので、学生とのやりとりを通して「教養」を示してくれることもある。ゼミ生のファッションをテーマに卒論を取り上げて、“なぜ、若い女性は時給750円のバイト200時間を投じて稼いだお金をヴィトンのポーチに投じるというような無謀な消費行動を取るのか?そのような倒錯した消費行動に人々を駆り立てる力は何か?というような、自分自身の欲望の成り立ちを考究する卒論に私はまだ出会ったことがない”と述べるのだが、これだけ具体的に「教養」のありかたを示してくれる人に私はまだ出会ったことがない。まさに「師」と呼ぶにふさわしい。 Amazon
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松本侑子『海と川の恋文』角川文庫

海と川の恋文 一言で言えば、「昔のトレンディドレマ」臭がぷんぷんする。表現が古くさいし、登場人物のキャラクターも現代男性からはかけ離れているような気がする。これで初出が2003年というのだからたまらない。ストーリーも陳腐なもので、新進女優が成り上がっていくものの、病に倒れ、闘病生活の末に復帰。プライベートでは公私混同関係の二人の男性との間で揺れ動く。ありきたりだ。と、随分酷評してしまったが、それでもちゃんと読破するのだから、私はえらい。 Amazon
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万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』ちくまプリマー新書

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 小学一年生のかのこちゃんと、その家で飼われている猫のマドレーヌ夫人との心の交流を描いた物語。マドレーヌ夫人は一緒に飼われている犬の玄三郎と言葉を交わすことができ、また、話の途中で「猫又」になることができる。これが何を意味するのかは是非本書を読んで確かめて欲しい。この設定があることでファンタジーと化すが、話をぎゅっと締める効果があり、必要不可欠のものとなっている。猫たちの世界もドラマに満ちあふれていて、軽々しく「気楽でいいよな」とは言えなくなる。一方かのこちゃんは、友達のすずちゃんとの関係を通して徐々に大人になっていく。その過程が実に着実でそれでいて劇的で、子どもの世界ってこんな感じだったか?と、思わず我が身を振り返りたくなる。かのこちゃんとマドレーヌ夫人が直接交わることは少ないのだが、猫の視点から見た人間世界というものが実に上手に表現されていて、心憎い。柔らかく、心に沁み入る大切にしたい作品である。 Amazon
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植木理恵『好かれる技術』新潮文庫

好かれる技術 人の印象を「雅楽」「ゴスペル」「フラメンコ」に当てはめて分類。そして、人から好かれるには情熱的な面と冷静な面を併せ持つ「フラメンコ」人間を目指しましょうというもの。突飛なことを言っているはずなのに、あまり私の印象に残らなかったのはなぜだろうか。著者は心理学者としては優れた論文を発表しているにもかかわらず、一般大衆向けにわかりやすいフレーズで表現は悪いが騙そうとしているように感じられたこと。また、私は元々分類されるのが嫌いなこと。これは血液型がB型ということに大きく起因していると思われる。素直な心で読めばそれなりにためになる本なのだろうけれど、なんだかすんなりと受け入れられなかった。これだからひねくれものは困る。 Amazon
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広田照幸『日本人のしつけは衰退したか』講談社現代新書

日本人のしつけは衰退したか 児童生徒を巡る事件が起きるたびに常識のように持ち出される「家庭の教育力が低下した」というフレーズ。果たして本当にそうなのか?というところに焦点を当てた著作。昔と今の社会情勢をつぶさに比較し、さらに「しつけ」と称される行為によってもたらされる効果を明らかにしている。曰く、昔は子どもは「労働力」としての存在であり、親は「労働の作法」を教え込むことには厳しかったが、労働年齢に達していない子どもにはろくに目をかけられず、「生活の作法」を教え込むという点では「しつけ」はできなかった。代わりにその役割を担っていたのが「村」を代表とする「地域」である。周囲の目が常に光り、悪ふざけをすれば怒られるし、親の耳にもすぐ入る。と同時に、異年齢集団での遊びの中で人間関係を学んでいく。このようにして子どもは教育されていった。現代はどうだろう。「しつけ」が無くなったのは「地域」ではないか。「労働の作法」を教える必要性はほぼなくなったが、代わりに「生活作法」を一手に抱え込んでしまった「家庭」。結果、子どもを教育するということに対する責任が一極集中してしまい、精神的に追い込まれるという事態が起きている。このように社会情勢を冷静に見つめ、どこに教育できるゆとりがあるのかを真剣に考えると、自ずと光は見えてくるのではないだろうか。 Amazon
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