2010年12月29日

森見登美彦『有頂天家族』幻冬舎文庫

有頂天家族 京都に巣くう狸と人間と天狗。三者三様の意地とプライドがぶつかりあい、そこに権力闘争と色恋沙汰と家族愛が絡まり、複雑な味わいを醸し出すミステリアスなファンタジー。と書くと壮大な物語のように思えてしまうが、なんのことはない。いつも通りのモリミー節が満載で、どうしようもないキャラクターが暴れ回る、いい意味でくだらない小説だ。このあえてくだらないように見せかけているのが作者の力量なのだろう。「面白く生きるほかに、何もすべきことはない。」とは、ラストを飾る主人公の言葉だが、作者自身、それを信念として作品を紡ぎ続けている気がする。その姿勢、潔し。 Amazon


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万城目学『ザ・万歩計』文春文庫

ザ・万歩計 『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』など、ファンタジー要素を巧みに織り込んだ作品が人気の著者によるエッセイ集。飼い猫への思いを綴った『ねねの話』には、我が家でも猫を飼っていることもあり、じんわりとさせられた。思わず生徒に読ませたくなったほどだ。また、文筆業の原点とも言える体験を書いた「まえがき」からは、国語の授業に関するヒントをもらった。著者が高校生の時、現代文の授業で「発想飛び」を完成させよという課題が与えられた。そこで書いたものが担当教員に激賞されたのが今の仕事のスタンスに繋がっているというのだが、私はこんな授業もあるのかと深く感銘を受けた。このように思わぬ効用があるのだから、やはり読書はいい。 Amazon
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2010年12月05日

池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』朝日出版社

単純な脳、複雑な「私」 第一線の脳科学者が母校の後輩たちに向けた講義。その一部始終を余すところなく収録。内容は学術的に知的好奇心を刺激されるものばかりで、文系の私にも非常に興味深く読めた。というより、脳科学はもちろん心理学につながり、それは社会学や文学とつながってくるという意味では、もはや理系・文系に分類する時代ではなくなってきているのかもしれない。いみじくもそれは著者が文中で語っていることでもあるが、その点でも全ての人に読んでもらいたい本。驚きを持って読めたのは、「脳は単純なルールを与えているだけ。そのルールに従う人体は、その構造によって“意志”を持っているかのように振る舞う」というところ。本書で視覚的にわかりやすく実証してくれているので、読めばわかることだが、「すごい!」と声をあげずにはいられない。単純でありながら不思議な脳。興味は尽きない。 Amazon
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