2011年04月30日

内田樹・三砂ちづる『身体知―カラダをちゃんと使うと幸せがやってくる』講談社+α文庫

身体知―カラダをちゃんと使うと幸せがやってくる 内田樹が、今度は疫学や母子保健を専門とする学者と対談。彼女は「いいから黙って結婚しなさい」と少し乱暴な(けれども真っ当な)論議を巻き起こした方である。人間も動物に属するのであり、「産み、育てる」という枠組みの中からは逃れられない。風潮に踊らされ、結婚しない、産まないというのは、年金の話だとか労働力の話だとか社会的な面だけではなく、自身の成長という面から言っても大きな損益であるというのが大ざっぱな論旨である。「子を持たない自分」と「子を持つ自分」にどれだけの違いがあるのか。これは「持たない自分」が論じていいものではないと思うが、このお二方の説得力のある対談を読んでいると、「産む性」が少し羨ましくなってくる。 Amazon


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東野圭吾『使命と魂のリミット』角川文庫

使命と魂のリミット 医師として、何をさしおいてもすべきことは何か。人それぞれに役割があり、その立場により範疇は異なるが、それは、人間としてすべきことに収斂する。それを妨げようとする悪意に対して、立ち向かうのもまた使命。ここで難しいのは、悪意を持った人間ですら使命感から動いているということだ。それは単なる個人的な恨みや憎しみかもしれない。しかし、ある側面に光を当てれば、間違っているといいきれない面もある。これを統御するのが社会なのだろう。一定の歯止めをかけ、ある程度の均一性を持たせる。国民総員の最低限の幸福を保障する仕組みだ。 Amazon
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2011年04月29日

伊坂幸太郎『グラスホッパー』角川文庫

グラスホッパー 作者お得意の、複数の視点を巧みに切り替えて、物語を積み上げていく手法。加えて、特殊能力を持つ人物が登場するのもお決まりのパターンだ。これは何もけなしているわけではない。読者の興をそそる手段を見事に確立しているなと驚嘆しているのだ。そしてまた、題名が秀逸。グラスホッパーとはバッタのことだが、その生態を人間の業とリンクさせ、物語の中で昇華させている。曰く、どんな動物でも集団の中で生きていれば生存競争に勝ち抜くために凶暴になる個体が現れるというのだ。この指摘、鋭すぎる。 Amazon
posted by ryoukana at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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