2009年12月28日

江國香織『つめたいよるに』新潮文庫

つめたいよるに 友人がおすすめしてくれたので読んでみた作品。江國香織は何作か読んだことはあるけれど、これまでのものに比べ、子どもや老人が多く題材になっているような気がした。同年代の登場人物にはあまり感情移入できなかったのだが、年齢がかけ離れていると、もともと異質なる者という意識があるのか、意外とすんなりと物語に没頭することができた。全体を通して童話のような雰囲気がただよっていて、形容するなら「じんわり」「ふんわり」といった感じで、心あたたまるものが多かった。中でも「スイート・ラバーズ」と「晴れた空の下で」が気に入った。ともに老人の姿に主眼が置かれている。前者は、結婚を目前に控える女性が、祖父の死を通じて夫婦のあるべき姿を発見し、婚約者への愛を確かめる。後者は、すっかり痴呆が進んでしまった老爺がとっくに亡くなった妻との思い出を木漏れ日のような筆致で描く。真実は、実際に起こる出来事ではなく、その人の心の中にあるということを思わされた。 Amazon


posted by ryoukana at 22:05| Comment(0) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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つめたいよるに 江國香織
Excerpt: デュークが死んだ。わたしのデュークが死んでしまった―。たまご料理と梨と落語が好きで、キスのうまい犬のデュークが死んだ翌日乗った電車
Weblog: 粋な提案
Tracked: 2010-09-27 09:41
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